ちょっと前に北野武監督の「首」という映画を観ました。
男色の世界と、首が切り落される行為に主眼を置いた異色の時代劇です。
戦国時代が一番多かっただろう、と思うのが武士の「切腹」ですね。
武士が切腹する際、「介錯」ということで死の苦痛の軽減のために首を
切り落とす方法が確立したそうです。
「切腹」という行為はただ短刀で脇腹を刺すだけでなく、そのまま横に
刀を動かして死を確実にしたそうです。
どれだけの苦痛だったか想像もできません。
戦乱の世の時代、武士の家に生まれると最悪の場合の切腹を教えられた
と思いますが、今の時代だと短刀を突き刺すだけでも怖くて出来ません。
ただ、いいか悪いかは別に置きますが、ヤクザの世界ではいろんな場面
での指詰め行為というのは今でもあって、それを実際に行う人の覚悟と
いうか感覚は、やはり一般人とは違うんでしょうね。
明治以降になって日本軍も近代化され、武士の世ではなくなっても、
切腹行為というのは軍人の間にあったようです。
皇国史観的に武士の慣習は否定するような気がするんですが、必ずしも
そうでもないんですね。
事件の詳細に触れると難しくて長くなるので止めますが、介錯もして
いますので相応の覚悟がないとできません。
戦国時代でなくても、第二次世界大戦が終わって旧帝国軍人がいなく
なっても、覚悟で切腹する人もいるんですね。
今の時代、言葉のレトリックで例えば仕事でミスをしたときに上層部
が本人に「腹を切らせる」なんて言葉を使いますが、あくまで規定で
定める責任を取らせるという意味ですね。
会社のお偉いさんが社員を解雇するときに、「あいつは首だ」なんて
いうのも「斬首」が元なんでしょうね。
そう考えると言葉の元の意味って怖いんだなって思います。
「切腹」も「首」も言葉を気安く使う時代ですが、昔は覚悟をもって
本当に実施していたわけですからね。
昔の武士は常に死を意識して生きていたんでしょうが、そんな緊張感
を常に持たなくていい時代に生まれて、自分は良かったと思います。